東京二期会『イオランタ』出演を記念し、2008年「にっぽん丸」でのヨーロッパ周遊中、加藤昌則さんとサンプトペテルブルクを訪れた際に綴った日記の一部を公開いたします。
<後編>
5月27日(火) 37日目 晴れのち曇り、時々雨 サンクトペテルブルク
martedi 27 maggio bel tempo, in seguito nuvoloso e pioggiafine
そんな冒険の末に、ようやくアレクサンドル・ネフスキー大修道院に到着。そこに至る途中、左右に墓地の入り口があり、右側の「チフヴィン墓地」にロシアを代表する数多の芸術家たちが眠っている。
感動したのはチャイコフスキーの墓の前に、師匠のA・ルビンシュテインの墓があったこと。昨年、日生劇場でチャイコフスキーの生涯を演じたことが、ご本人を前にすると何だか申し訳ない気がして、心で感謝と詫びを告げた。
そしてその周りには、ボロディン、ムソルグスキー、リムスキー・コルサコフ、グリンカ、グラズノフ、バラキレフ、キュイ…と、こんなに作曲家が集まったら絶対に大喧嘩だよと言いたくなる程の大物揃い。そう考えるとこの墓地、讃えているのか、何なのかよく分からんな。ちなみに入場料? は100ルーブル。写真を撮るなら、もう50ルーブル。
それにしても加藤さんはやはり作曲家で、恥ずかしながら私にとってあまり馴染みのないロシアの作曲家の特徴を、水を得た魚のごとくわかりやすく解説してくれた。さっきまで疲れ切っていたとは思えない勢いで。加藤さんがいなかったら、チャイコフスキーとムソルグスキーだけで帰っていたかもしれない。サスガである。
同じ敷地にたつドストエフスキーの墓の前で、墓と同じデザインの顔を演じ写真を撮ったのだが、今頃になって、それは罪だと罰を受ける気がしている。
感動の対面、重要任務を果たし、集合場所に無事に戻る。現地のガイドさんに冒険の話をすると「よく二人だけで行って無事でしたね」と驚かれる。それもチャイコ様のご加護か。
印象的だったのは、ガイドさんが別れ際に「サンクトペテルブルクに行って良かったと思われたいんです」と仰ったこと。正直言うと「こんなに空気の悪い街なんて、できればもう来たくない」と思っていた。だけどガイドさんのその一言で、自分の街を愛する気持ちに触れたと言えばいいのかな、たった二日の経験で全てを判断した気になっている自分を恥じた。
私も日本に来てくださった外国人と接する機会があったら、同じような気持ちで親切に接したいなと思ったよ。
疲れたけど、楽しかったぞ、サンクトペテルブルク!!
スパスィーバ(ありがとう)!! サンクトペテルブルク!!