ハンサム四兄弟

とびきり甘い夜2021


2021.3.18 紀尾井ホール

♥加耒徹 ♠近藤圭 ♦与那城敬 ♣宮本益光

恋する歌曲

♥トスティ「愛して!」
♠シューマン「献呈」
♦カルディッロ「カタリ カタリ」
♣越谷達之助(詞:石川啄木)「初恋」

「ドン・ジョヴァンニ」ハイライト

モーツァルト 歌劇『ドン・ジョヴァンニ』より

♠カタログの歌(レポレッロ)

♣シャンパンの歌(ドン・ジョヴァンニ)

♥窓辺においで(ドン・ジョヴァンニ)

♦君たちの半分はこっちに行きたまえ(ドン・ジョヴァンニ)

華麗なるオペラ・アリア饗宴

♠ヴァーグナー 歌劇『タンホイザー』より この気高き集いを見渡せば

♥マスネ 歌劇『エロディアード』より 幻想のアリア

♣コンゴルド 歌劇『死の都』より 我が憧れ、我が幻

♦ベッリーニ 歌劇『清教徒』より ああ、永久に私はあなたを失った

For You

♥ミッチ・リー ミュージカル『ラマンチャの男』より 見果てぬ夢

♠ブラウン「雨に唄えば」

♦アーレン ミュージカル『オズの魔法使い』より 虹の彼方に

♣中村八大(詞:永六輔)「上を向いて歩こう」

加藤昌則(詞:宮本益光)もしも歌がなかったら

アンコール

加藤昌則(詞:宮本益光)そのうたは



昨年の3月に公演予定だった「とびきり甘い夜」は、2018年3月14日に開催したコンサートの続編だ。ホワイトデーと、甘い歌、そして甘いマスク(自分で言って苦しんでいる)ということで「とびきり甘い夜」と命名した。

 

もともとは二期会から「何か面白い企画を」との依頼を受けたのが始まりだった。そこで私が気になっている後輩バリトンたちと何かできたら楽しいかな…と、与那城敬、近藤圭、加耒徹の各氏に出演を依頼した。決してこやつらを叩き潰そうと目論んだわけではない、ホントに。

 

その後、2019年9月22日にこの4人でコンサートを再び…とのオファーをめぐろパーシモンホールさんから受け、さすがにホワイトデーには程遠いとのことで「ハンサムなメロディー」と名付けた。あえて「ハンサム」なる、いささか使い古された感のある言葉を選択したのは、私個人として自虐的な意味合いを含んでいる。いや、彼らは言うまでもなく見た目も美しい歌手たちなのだが。

 

ところがこの「ハンサム」という言葉が思いのほかハマったようで、マネージャーたちも「ハンサムさん」と抵抗なく呼ぶようになった(私たちはいまも抵抗を感じているのだが)。

 

こうして「ハンサム四兄弟」が誕生した。

 

しかし私たちはこの「ハンサム四兄弟」をユニット化したつもりはない。まるでオペラのタイトルのようにその名を感じ、集い、互いをリスペクトしつつ活動している感覚だ。

 

今回、2回目となる「とびきり甘い夜」は緊急事態宣言下ということもあり、約6割のお客様で売り止めとなった。しかし一年の延期を経てようやく開催にこぎつけた喜びが客席から舞台上にしっかりと注がれているのを感じ、その熱に私たちも心揺さぶられた。2018年のときから多くの活動を通じ、より仲間の感覚を増した私たちは、「ハンサム四兄弟」として私たちにしかできない舞台を創った…そんな心地良い気分に満たされた。

 

それにしても与那城敬、近藤圭、加耒徹!それぞれがバリトンの主役を張れる。そして彼らが歌う曲は、当然、私のレパートリーであり、それぞれのレパートリーでもある。リハーサルでは全員が聞き耳を立て、そして称え合っている。なんて刺激的な時間だろう。

 

また私には長兄としての意地も、ささやかながら残っているようだ。こやつらとのコンサートを重ねることで歌手生命が延びるような気がしたからね。